歌に私は泣くだらう [ 永田和宏 ]

妻・河野裕子闘病の十年

目次は次のとおりです。

私はここよ吊り橋ぢやない
ああ寒いわたしの左側に居てほしい
茶を飲ませ別れ来しことわれを救える

助手席にいるのはいつも君だった
夫ならば庇つて欲しかつた医学書閉ぢて
私は妻だつたのよ触れられもせず

あの時の壊れたわたしを抱きしめて
東京に娘が生きてゐることの
いよいよ来ましたかと

一日が過ぎれば一日減つてゆく
歌は遺り歌に私は泣くだらう
つひにはあなたひとりを数ふ


その時、夫は妻を抱きしめるしかなかった。
歌人永田和宏の妻であり、
戦後を代表する女流歌人・河野裕子が、
突然、乳がんの宣告を受けた。
闘病生活を家族で支え合い、
恢復に向いつつも、
妻は過剰な服薬のため精神的に不安定になってゆく。
凄絶な日々に懊悩し葛藤する夫。
そして、がんの再発…。
発病から最期の日まで、
限りある命と向き合いながら歌を詠み続けた夫婦の愛の物語。
第29回講談社エッセイ賞受賞作品です。
読んでいるうちに亡き妻のことを思い出しました。
実体験者にしかわからない著者の気持ち、痛いほどわかります。
なんとも切ない書です。

私のサイトです。
よろしければご覧下さい。

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このページは、村田優一郎が2015年4月 5日 13:46に書いたブログ記事です。

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