「保守」のゆくえ (中公新書ラクレ) [ 佐伯 啓思 ]

柔軟で成熟した保守思想の深み

目次は次の通りです。

巻頭二論
(無秩序化する世界のなかで「保守思想」とは何か/「近代日本のディレンマ」を忘れた「現代日本の楽園」)

第1章 価値の喪失
(革命幻想の末路/「あの戦争」は風化していない ほか)

第2章 意味ある生とは何か
(「働くこと」の再構築/反核国家の「資格」 ほか)

第3章 歴史について
(回帰する歴史と漂流する歴史観/ポツダム宣言の呪縛 ほか)

第4章 国民国家のために
(欲望と暴力の支配する世界/傷ついたヨーロッパ ほか)

確かな価値や秩序原理を失って、世界は混沌に向かっている。
日本もその潮流のなかで、どう振る舞うかが問われている。
いま、文明が陥ったニヒリズムに対して、人間の生を復権するために保守思想の役割は大きい。 
ただ一方で、現実政治の動きを背景に、保守とリベラルの意味について、いまさまざまな言論が巻き起こっている。
「保守とは何か」をもう一度確認する必要に迫られているのが、現代という時代でもある。 
そうした中、保守の論客として、産経新聞から朝日新聞まで、ときに厳しく、ときに人間味豊かに語ってきた著者が、
ホームグラウンド『表現者』に長きにわたって書き続けた文章を集成したのが本書です。
「保守主義は政治の一部エリートのものではない。それは自国の伝統にある上質なものへの敬意と、
それを守る日常的な営みによって支えられる」と著者は述べる。
そこにあらわれた愛国心は排外的ではない。
そして特別な階層や集団の専売特許ではありえず、まさに国民的な課題だといえると告げる。
柔軟で成熟した保守思想の深みを、味わいのある文章であらわした名作は色々な気づきを与えてくれます。

<印象に残った一文>
「人間は常に伝統や習慣を頼りに生活しており、、その生活やモノの考え方は、あまりに急激な変化にはついていけない。」

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このページは、村田優一郎が2018年5月21日 06:14に書いたブログ記事です。

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